
「「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」 ― ユニクロ。
「世の中の体温をあげる」 ― Soup Stock Tokyo(スマイルズ)。
「日本の工芸を元気にする」 ― 中川政七商店。
どれも短い言葉ですが、ただのスローガンではなく、その企業が何をする組織なのか、そして社会にどんな変化を起こそうとしているのか が直感的に伝わります。
こうした言葉を持つ企業は、社員にとっても社外の人にとっても「わかりやすい存在意義」を発信していると言えます。
一方、多くの企業では「自分たちの会社が何をする組織か」を社員が自分の言葉で語れない現実があります。抽象的な理念や建前のフレーズにとどまり、外部にも内部にも浸透していないケースは少なくありません。
だからこそ、経営層や人事に求められるのは、ミッション・ビジョン・バリュー・パーパス(MVVP)を「現場が使える言葉」として再定義することです。
本記事では、組織に言葉がなぜ必要か、そして実際の導入事例やすぐに実践できる方法をご紹介します。
研修で感じた「言葉の不在」
先日、県が主催する研修に登壇しました。参加者は経営層や人事担当者。
その場で強く感じたのは、自分たちの組織が「何をする会社なのか」を語れる人が驚くほど少ない ということでした。
語れていても、「耳障りの良い抽象表現」や「復唱している建前の言葉」にとどまってしまう。結局どんな会社なのか本人も理解していない。そして、外部からも伝わりにくいケースが目立ちました。
このことは、組織にとって大きな課題だと感じました。課題設定や施策ワークに入ってからも方向性がわからないため、何が優先事項なのか決められない。判断できないという声が会場のあちこちから聞こえてきたからです。
なぜ言語化が必要か?
言語化の目的は単なる表現の美化ではありません。
大きく分けて 2つの理由 があります。
- 短い言葉で「何をする組織か」が伝わると、認知されやすくなる。
- ユニクロやスマイルズ、中川政七商店の例のように、存在意義が一瞬で理解される。
- 組織の目指す姿や役割が明確になるほど、社員の意識や行動がまとまりやすくなる。
- 「自分の仕事が社会につながっている」と感じやすくなり、やりがいや意欲につながる。
言語化の4つの柱(MVVP)
組織の「言葉」は次の4つを軸に整理することができます。
なぜ存在するのか(Why)
例:スマイルズ「世の中の体温をあげる」
何をする組織か(What)
例:スターバックス「人々の心を豊かで活力あるものにする」
どんな未来を実現したいか(Where)
例:ユニクロ「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」
どんな価値観で動くか(How)
例:「Do the right thing.(正しいことをしよう)」
「自社は何をする会社か?」と問われて、あなた自身は 自分の言葉で、外部の人に伝わる表現で語れる でしょうか。
- 対外的には「社会にどう認知されたいか」
- 社内的には「社員がどうまとまり、意思決定できるか」
この両方をつなぐのが、ミッション・ビジョン・バリュー・パーパスの言語化です。
実際の導入事例:言葉が組織を変えた瞬間
ここまで「組織が自分たちの言葉を持つことの重要性」についてお伝えしてきました。
では、実際にミッション・ビジョン・バリュー・パーパス(MVVP)を言語化し直した組織は、どのように変わったのでしょうか。
ポイントは、「抽象的な理念」から「現場で使える言葉」へと落とし込めたかどうかです。
言葉が社員一人ひとりの行動に結びついたとき、組織全体に目に見える変化が起こります。
以下では、実際の導入事例をいくつかご紹介します。



まとめ
「組織を言葉にする」ことは、単なるスローガンづくりではなく、組織の存在理由を確認し、未来を描き、行動を揃えるための基盤 です。

内に向けては「私たちは何を成し遂げる集団か」を示す
ユニクロやスマイルズ、中川政七商店のように、短い一言で「存在意義」と「未来像」が伝わる会社は強い。
だからこそ、私たちも「社会にどんな変化を起こす組織なのか?」を、自分たちの言葉で語れるようにしていく必要があるのです。
組織の言葉は、外に示す旗であると同時に、内で働く人の心を支える拠り所でもあります。
「そうだ、私たちはこのために働いているんだ」と実感できる言葉は、日々の小さな行動を積み重ね、大きな未来へとつなげていきます。
どうかメンバーと共に、組織を前へ動かす「言葉」を育ててみてください。

「私たちは社会にどんな変化を起こす会社か?」
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代表取締役 鈴木敦子
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執筆:鈴木敦子