マネジメントに必要なスキルと習得させる方法

「次期管理職が育たない」
「マネジメントスキルをどう向上させればよいかわからない」
「マネジメントがうまくいかず離職が増えている」
「マネジメント層を採用したがうまくいかない」

このような悩みを抱える経営者や人材育成責任者が、多いのではないでしょうか。

マネジメントスキルを持つ人材は、育成が可能です。この記事では、現代のビジネスに求められるマネジメントスキルと、そのスキルを持ったマネジメント人材の育成方法を解説します。

なぜ、マネジメントが機能しないのか?

マネジメントの語源は、イタリア語の「馬を調教する」という言葉から来ています。「馬を馴らす」から転じて「ものごとをうまく扱う」ことを意味しています。

日本では「マネジメント」を「管理する」と訳しますが、本来マネジメントとは、会社が掲げるミッションや経営理念を実現するための手法のことです。著名な経営学者として知られるピーター・ドラッカーも、マネジメントを「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」と説いています。「成果を上げるための手法全般」と考えると、わかりやすいと思います。

産業革命以降の企業では、効率よく大量にモノをつくりだすためにトップダウン型のマネジメントが主流でした。トップダウン型は「上司から言われたことをする」ことが第一ですから、それゆえに「管理すること」が効果的でした。しかし、現代において「トップが決めたこと」を遂行しているだけでは、スピーディなビジネス環境の変化に追いついていけません。その代わりに、「目標に向かって、自ら考えて行動する自発的な姿勢を支援する」、ボトムアップ型のマネジメントが必要なのです。

経営層が悩む「マネジメントが機能しない」とは、このマネジメントの変化に個人や組織がフィットしきれていないことに原因があります。ですから、外部環境に対応し、未来のあるべき状態にむけて組織を変革できるマネジメントスキルが求められるのです。

マネジメントスキルは、後発的に習得できるスキルです。上司や先輩の姿を真似たり、日々の業務から経験していく方法も1つですが、マネジメントに必要な知識はすでに体系化されています。効率よく、スピーディにマネジメントスキルを身につける育成が可能です。

人材育成で習得したいマネジメントスキル4つ

では、具体的にどのようなマネジメントスキルが必要なのでしょうか。
とくに重要なスキルは、次の4つです。

リーダーシップ周囲を動かし、目的を達成する力。会社のビジョン実現のために1人ではなし得ないことを周囲を動かして実現していくことが重要
調整力メンバー特性や状況によって配置を最適化する力(適材適所)。組織の目標達成のために、業務進捗や優先順位に応じて柔軟に部下の配置を最適化することも大切
部下育成力組織の目標達成に向けて部下を育成する力。部下の能力や特性を把握し、指示・助言・委任を使い分けながら部下の目標達成を支援する
関係構築力相手の立場に立ってコミュニケーションする力。人は感情で動く。相手の気持ちや感情に寄り添ったうえで、組織の目標達成のために双方向のコミュニケーションが大切

リーダーシップを発揮したり、調整や部下の育成支援、関係の構築をしていくプロセスでは、さらに多様なスキルが必要です。本記事では、まずはマネジメントスキルの習得について全体象を把握していただくため、詳細なスキル説明は省いています。

マネジメント人材を育成する3つの方法

マネジメントスキルを持つ、または高めるには、次の3つの方法があります。
ポイントは、マネジメントを学ぶ機会を作り実践するサイクルを作ることと、マネジメントスキルによるビジネスや組織への貢献を、きちんと評価することです。
では、詳しく見ていきましょう。

①インプット機会を設ける

インプット機会とは、マネジメントスキルにまつわる情報や手法を学ぶ機会です。一般的な方法に、マネジメント研修やマネジメントに関連する資格取得、eラーニング、ビジネスコーチングなどがあります。

研修を実施する際には、まずは自社における人材育成の目的に照らしてゴールを決めます。ゴールには、「いつ・誰に・どのレベルを目指して行うのか」を明確にしてください。

とくに目指すレベルは重要です。1度の研修で、いきなり高いレベルを目指すことは避けましょう。研修では、考え方や知識を学べることに加えて、現場で学んだ内容を活かそうとする意欲も高まります。半年や1年といった研修後の期間も含めて、長い時間軸でゴールを立てることをおすすめします。

あわせて、社員が自ら主体的に学べる環境や制度を準備しましょう。たとえば、資格取得を補助する制度、年間で一定額自由に使える図書購入制度、eラーニング(通信教育)受講などがあります。

学びはタイミングが重要です。研修は一律一斉にインプットできる点がメリットですが、学びたいタイミングや内容は人によって異なります。学びは「知りたい!学びたい!」と意欲が高まったタイミングが、最も効果を得られます。そうしたニーズに応えられる環境や制度を、社員アンケートなどを取りながら徐々に構築していくとよいでしょう。

②実践機会を設ける

マネジメントスキル習得には、実践が重要です。実践機会を計画的に提供する方法は2つあります。

1つ目は、研修などのインプット機会と組み合わせる方法です。研修を受けて終わりでは効果は半減します。研修後に研修内容に紐づいた実践機会を設けるとよいでしょう。たとえばリーダーシップを学んだのであれば、「部署のメンバーを巻き込んだリーダーシップ行動を職場で実践する」といった事後課題を課すなどです。

2つ目は、OJTトレーナーに任命する方法です。OJTトレーナーとは、新入社員や中途社員の育成を行う部署内の育成担当者のことです。OJTトレーナーでは、部下と1対1で関わるため、部下育成力が身につきます。また、周囲の協力を得ながら育成を進めるため、リーダーシップも磨かれます。

どちらの方法も非常に有効なので、計画的に進めてより高い効果につなげていきましょう。

③評価に組み込む

評価制度にマネジメントスキルに関する項目を組み込むことも大切です。

マネジメントスキルを習得しようと頑張っても、全く評価されなければ意欲も長続きしません。そのため、たとえば、OJTトレーナーを担当すればその分だけ加点評価がつくなど、評価制度と連動させて進めることが重要です。

マネジメント人材の育成に必要な心がまえとは?

マネジメント人材の育成に限らず、人材育成は時間がかかるものです。
経営者や人材育成責任者は、次のポイントを理解し、行動に移しましょう。

①育成の目的に共通認識を持つ

「何のための人材育成か」について、関係者間で共通認識を持っておくことが重要です。目的に認識の違いがあれば、人材育成の計画立案や実行フェーズにおいて、議論が噛み合わなくなってしまうことが予想されます。

たとえば、マネジメントスキル向上と言っても、次期管理職を育成するためなのか、現管理職の底上げのためなのか、目的の違いにより手段は異なります。とくに、経営者や育成対象者の上司とは、必ず共通認識を持ってから進めるようにしましょう。

②育成の仕組みを体系化する

育成には時間がかかります。また、これをやれば必ずうまくいくといった魔法のような方法は存在しません。だからこそ、暫定でも構わないので育成の仕組みを構築し、全体像を可視化したうえで取り組みましょう。そして、PDCAをつねに回し続け、自社にあった効果的な育成計画を徐々に作り上げていくことが大切です。

具体的には、人事制度に定めている人材要件と適合するような教育計画の策定や、職務階層ごとのスキルマップの構築などをおすすめします。

③経営者が育成の意義を発信し続ける

マネジメント人材の育成に取り組むメリットは大きいですが、効果が出るまで時間もかかります。ときには、関係者間で育成に取り組む意味や意義を見失ってしまうこともあるでしょう。

ですから、経営者や人材育成責任者が、育成に取り組むことの意味や意義を自分の言葉で継続的に発信し続けることが重要です。「なぜマネジメントスキルを学ぶ必要があるのか」「会社はどんなビジョンを達成したいのか」など、経営者の言葉を発信すると、現場がまとまり、目標へ向かって動きやすくなります。社内報で発信したり、各部署の管理職層と面談をするなどして、言葉を伝えましょう。

マネジメントスキルを持つ社員の育成で得られること

おわりに、マネジメント人材の育成で得られるメリットをご紹介します。

(1)優秀人材が定着し、長期的に強い組織になる

優秀人材の離職理由の1番は、「成長機会がない」ことです。育成基盤を整えていくことで、優秀人材の向上心をさらに高めることができます。また、育成をする過程で、「どのような教育をすれば、自社に必要なマネジメントスキルを身につけさせることができるのか」という知見が蓄積されていきます。その知見は自社の育成プログラムとなり、継続した管理職育成へつなげられます。

(2)事業の成長が加速する

マネジメントスキルを習得すると、問題のとらえかたが変わります。多様な人材がいる組織では、常に問題が起こるものです。しかし、知識やスキルの習得によって、それらの問題に適切に対処できるようになると、結果として人や組織の成長を上手に促進できるカルチャーが生まれ、事業の成長につながります。

5.人材育成のご相談ならStartingPointへ

マネジメントスキルを持った社員の育成は、時間がかかります。しかし、企業の成長のために大きなメリットがあることは確かです。

一方で、本記事で紹介したのはあくまで概要であり、実際には組織の環境、規模などによって必要なスキルは異なります。なぜなら、それぞれの組織で抱える課題が異なるためです。身につけてもらいたいスキルが変われば、当然ながら育成の方法もそれに適したものを検討していく必要があります。

ただ、「では、自分たちの組織が抱えている課題は何なのか」というのは成員の立場では見えにくいものです。そのため、外部からの客観的な意見を取り入れることをおすすめします。

Starting Pointでは、これまで多くの組織をサポートしてきているので、それぞれの組織の課題を的確に洗い出すことができます。もしマネジメント層の人材育成にお悩みでしたら、お気軽にStartingPointへご相談ください。

おすすめ記事