「リーダーに必要なスキル」を定義できていますか?人材育成や昇進の判断に役立つ指標・PM理論を解説

こんにちは。組織開発コンサルタント・行動促進研究家の鈴木敦子です。

とある方から、「リーダーに抜擢されたけど、どう行動したら良いかわからない」というご相談をいただきました。私も会社員時代、リーダーとして成果をあげられず、悪戦苦闘した日々を思い出します。はじめてのチャレンジには、迷いもありますよね。

いっぽう、経営者やマネジメント層からは「リーダーに抜擢したけれど、思うように活躍できていないようだ」の声を聞くことも少なくありません。「こんなリーダーになってほしい」の期待と実際のリーダーの行動にズレが生じているんですね。

これらは、「リーダーとは何か?」の指標がないことから起こります。言い換えると、「リーダーの指標」があれば、問題は解決するのです。

今回は、行動研究理論で有名なPM理論を活用した「リーダーの指標」をご紹介します。

PM理論とは

PM理論とは、1966年に社会心理学者 三隅二不二(みすみじゅうじ)によって提唱された理論です。リーダーの行動や影響を450項目に言語化。さらに生産性や労働事故の減少など優れたマネジメントに関わる項目は、63項目にまで整理され、現在でもリーダーシップ行動測定の基礎となっています。そして、リーダーシップ行動で最も大切な2つの機能を明らかにしました。

P機能とM機能

それは、P機能(Performance function)目標達成能力とM機能(Maintenance function)集団維持能力です。

P機能(Performance function)目標達成能力

目標設定や計画立案を具体的に示し、指示、叱咤などにより、成績や生産性を高めようとする。目標達成や課題解決に注力し目標を達成する能力をいう。

M機能(Maintenance function)集団維持能力

人間関係が良好に保たれることに配慮し、チームワークを円滑で効果的な活動になるよう強化、維持する能力をいう。

P機能とM機能4つの類型分析

リーダーの行動をP機能とM機能の2つの軸でとらえ、その行動を発揮している程度によって、リーダーを4つのタイプに分類します。それぞれの機能の強弱が、生産性、事故やミス、離職など、組織のさまざまな事象に影響を及ぼしていることが実証されています。

【1】PM(P・Mともに高い)

生産性が高く、目標達成する能力もあり、集団を維持しまとめる力がある。
➡リーダーの目指す姿。

【2】Pm型(Pが高く、Mが低い)

生産性が高く、目標を達成する力はあるが、集団を維持しまとめる力は低い。
➡個人で成果をあげることに向いている。

【3】pM型(Pが低く、Mが高い)

集団を維持し、まとめる力はあるが、生産性が低く、目標を達成する力が弱い。
➡フォローやサポート的リーダーシップスタイルともいえます。

【4】pm型(P・Mともに低い)

生産性を高めることにも意識が低く、目標を達成する力も弱い。また、集団を維持し、まとめる力も弱い。
➡リーダーの役割を担うには、かなり頑張る必要があります。

PM理論活用:目指すは生産性と部下満足度の高いPM型リーダー

下記の通り、さまざまな研究から類型による評価結果が明らかになっています。

PM型pm型
製造、金融などでの現場研究(1978三隅) 生産性が高い
チームリーダー
生産性が低い
チームリーダー
エンジニアリング・プロジェクト(1978三隅) 成功したプロジェクト
リーダー
失敗したプロジェクト
リーダー
部下満足度意欲、給与、組織に対する満足度が高く、メンタルの良好や業績規範も高い意欲、満足度、メンタル、業績規範も低い
企業組織体における中間管理者のリーダーシップ行動に関する実証的研究より作成

PM理論活用で気をつけたい点

類型分析では、P機能/M機能は、組織の種類や階層が異なると行動の具体的な要素が異なってくるという結果もでています。

たとえば、7300名規模の製造・販売を中心業務とする組織内調査では、全ての役職に「厳格性」「計画性」など共通していましたが、中間層では「率先性」、トップ層では「内部調整」が強く見出されていたそうです。


組織の風土や役割の定義によっても必要とされる要素が変わってきます。自組織で評価される行動を定義しておくことは、リーダーが能力を発揮しやすい組織づくりにも不可欠ですね。

リーダー育成にPM理論を活用する

ここまで、PM理論をもとにリーダーの型を説明してきました。続いては、組織にとって望ましいリーダーを増やすにはどうしたらよいか?を考えていきます。

リーダー像を意識することで、リーダーの行動は好転させることができます。「人は、変わる」という前提をもとに育成視点をもち、根気よくトレーニングをしていきましょう。

pM型からPM型へ

P機能が弱いリーダーは、「どう思われるか」に脅威を感じている方が多いです。関係性が崩れてしまう怖さと向き合うことと、具体的な数字やデータなどの客観的指標をもとに対話するところから変化を起こしていきます。このタイプのりーだーは、普段からポジティブな関係をつくることに長けているので、具体的な指示は受け入れてもらいやすい傾向があります。


pm型からPM型へ

成果もでず、なれ合いの集団になっている場合は、関係構築からやり直す必要があります。「叱るべきときは叱る、承認するときは承認する」の信賞必罰の姿勢で取り組みます。

メンバーからのフィードバックをもとに態度を改め、共通目標の話し合いから始めることが大切です。

Pm型からPM型へ

成果がでにくいとき、数字ばかりを追求しているリーダーのもとで働くと、雰囲気も悪くなり、メンバーも疲弊していきます。統率力を高めるには、どのようなチーム環境をつくっていきたいかを考えます。また、メンバーの個々の強みと弱みを言語化し、目指す目標にむけたギャップを明らかにしたうえで、共に目標を達成したいと思い合える関係づくりから始めましょう。

PM理論をもとにしたトレーニング開発

PM理論は、組織における適切なリーダーシップが何かを明らかにし、類型化したものです。ですが、理論を学べば、すぐに現場で実践できるものではありません。なぜなら、人は、すでに身につけている考え方や行動のくせがあるからです。ですから、下記のトレーニング例のように理論を学び、実践行動を繰り返し、検証し、行動修正を促す働きかけや意識づけが必要となります。

また、人が新しいことにチャレンジすある際は、社会的学習理論 の視点から「自己効力感」が重要な役割を果たすことが指摘されています。小さな成功体験などを通して、「自分には、ある事柄を成し遂げる力がある」を認識していくことで良い行動の定着がはかれます。

実践行動期間にコーチやメンターの関わりを活用し、当人だけでは不足しがちな効力感を高めていくことも、効果を上げるポイントになります。

PM理論解説と活用まとめ

  1. リーダーの望ましい行動に必要な機能として、P機能(Performance function)目標達成能力とM機能(Maintenance function)集団維持能力があります。
  2. P機能とM機能の強弱により、リーダーの能力がどのように発揮されているかを把握することができます。分類された4つの類型をもとに自社組織のリーダーのふるまいを確認してみましょう。
  3. 理論を参考に、まずは自社組織でどのようなリーダーが評価対象になるかを定義しましょう。各役職によって求められる資質が異なってくることを忘れずに!
  4. リーダーのふるまいは、意識すれば変えられます。望ましい行動が不足しているからといって、すぐにふさわしくないという判断を下すのではなく、理論をもとにどう導くかを考えて関わりましょう。
  5. トレーニングも理論を伝えて終わりではなく、望ましい行動が定着するまで、サーベイやフィードバック、理解を深められる関わりをしていきましょう。

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参考文献・引用

・関文恭、高岡章一、三隅二不二、三角 恵美子(1992)PMリーダーシップ理論によるリーダーシップ開発の実証的研究

・三隅二不二、矢守克也(1989)中学校 におけ る学級担任教 師の リーダー シ ップ行動測定尺度の作成 とその妥当性 に関す る研究
・三隅二不二、窪田由紀、杉万俊夫、亀石圭志(1979)企業組織体における中間管理者のリーダーシップ行動に関する実証的研究
・吉田道雄、三隅二不二、山田昭、三角恵美子、桜井幸博、金城亮、松田良輔、松尾英久、徳留英二(1995)リーダーシップPM理論に基づくトレーニングの開発 

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